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しつけと健康のために・・正しい食事の与え方②

しつけと健康のために・・正しい食事の与え方②

前回は「健康管理にもとづいた食事」についてお話しました。
今回は「しつけのための食事の与え方」についてです

仔犬に食事を与える際は、仔犬に、「飼い主は自分にとって、命の糧となる食事を与えてくれる、頼るべき存在」だということを印象づけることが大切です。
時間になったら催促して吠えるので食事を与えたり、かわいらしいしぐさに負けて、ほしがるままにおやつを与えていると、仔犬は「飼い主はなんでも言うことを聞くし、頼りないから、自分がリーダーになるべきだ」と勘違いしてしまうかもしれません。
食べ物は、仔犬にとって、とてもうれしいごほうびです。
「吠える→うるさいから、しかたなく食事を与える」と、仔犬は「吠える→いいことがある」と学習し、ますます吠えるようになります。
仔犬は、おいしい食べ物を手に入れるために、ありとあらゆる努力をします。飼い主の足元でじっと見つめてみたり、そっとひざに手を置いてみたりして、食べ物をもらえるまで辛抱強く待ち続けます。そして、念願の食べ物を手に入れたら、からだ全体でよろこびを表します。そのかわいいしぐさに負けて、ついつい人間の食べ物を与える習慣がついてしまうものです。
しかし、人間の食べ物は犬にとって健康に害なものもありますし、「しつけ」の面からみても良くありません。かわいくおねだりする犬ならまだ良いのですが、小さな子供がいる家庭では、犬が、子供の食べ物を奪い取るといった問題行動に進みかねません。しつこく「おねだり」をしてくる仔犬なら、人間が食事をする時間はケージにいれるという習慣にしたほうが良いかもしれません。

食事を与えるときのポイント

①「おすわり」「まて」をさせてから与える
食べ物は、飼い主から与えられるものだということを仔犬に学習させます。
この号令はしつこく繰り返したり、長く待たせる必要はありません。
「おすわり」「まて」は人間で言う「いただきます」だと考えましょう。「いただきます」を一回言えば充分なように、「おすわり」「まて」も、食事の際は、号令に従う気持ちがあれば充分です。
しつこく「おすわり」させたり、食事の途中で食べ物をとりあげて「まて」させたりするトレーニングは、食べ盛りでおなかぺこぺこな仔犬にとって耐え難いものです。しつこく号令に従わせることで、仔犬をイライラさせ、逆に攻撃性をたかめることもありますので絶対にやめましょう。

②食事中に、飼い主が近づけるようにする
食事中に飼い主が近づくと、食べ物を守ろうとする仔犬は、特別「食べ物」に対する執着心が強いと言えます。このような仔犬は、将来、食事中に触ると咬んだり、うなったりする犬になる可能性があります。
自分の食べ物を守ろうとする仔犬を叱ってはいけません。叱ったり、食べ物を取り上げたりすると、仔犬は、飼い主と食べ物を奪い合っているのだと勘違いし、問題はますます悪化します。
このような仔犬には、「食事中に飼い主が近づいてきたら、いいことがある」と教えることが大切です。仔犬の食事を一回ですべて与えず、途中で追加して与えたり、食事の途中で仔犬の好物を食器に追加したりします。繰り返すうちに、仔犬は、「飼い主が食事中に近づいてくるのは、食事を奪うためではなく、さらにおいしいものをくれるためなんだ」と理解してくれるでしょう。
しかしながら、食べ物に対して執着心の強い犬の場合は、食事中にいきなり攻撃的になることも考えられるため、小さい子供には、犬の食事中は近寄らないように教えておいたほうが安全です。