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冬の病気 その2 ~犬のワクチン~

冬の病気 その2 ~犬のワクチン~

犬の予防接種はお済みですか?

今回は、ワクチンの接種で予防できる、犬の病気をご紹介します。

特に、犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬伝染性肝炎は、犬の間で広く伝播しており、必ず予防が必要である感染症とされています。
ワクチンを接種することで、これらの病気を予防しましょう。

犬ジステンパー
伝染力がとても強く、死亡率も高い感染症です。
感染した犬の鼻水、尿などにウイルスは排泄されて、感染源となります。
あらゆる年齢の犬に感染しますが、ワクチンを接種していない仔犬(6~12週齢)に最も多く発症します。
感染すると、呼吸器症状や消化器症状を伴ういろいろな症状を起こし、神経症状へと進展していきます。中枢神経系に侵入すると、痙攣や麻痺などの脳症状(ジステンパー脳炎)を起こし、回復してもチックなどの後遺症が残ってしまいます。
致死率は高く、ワクチンを接種していない仔犬では50%、神経症状を起こした場合はさらに90%といわれています。

犬パルボウイルス感染症
伝染力が強く、激しい血便を伴う消化器症状と白血球の減少が特徴的です。
心不全による突然死も引き起こします。
感染する犬の年齢によって、症状は異なりますが、母犬からの免疫がなくなりワクチンを接種していない仔犬での死亡率は、特に高くなります。
妊娠している犬が感染を受けると胎子の死亡や流産を起こします。

犬伝染性肝炎
犬に病気を起こすアデノウイルスには2種類(1型と2型)あり、犬伝染性肝炎はアデノウイルス1型によって起こります。
肝炎を特徴とし、死亡率は10~30%といわれていますが、1才未満の若い子での死亡率はさらに高くなります。
元気がなくなる、熱がでるなどのほか、嘔吐や下痢、腹痛や歯ぐきなど粘膜からの出血が起きることもあります。
数時間以内で突然死する甚急性のケースもあります。

犬アデノウイルス2型感染症・犬パラインフルエンザウイルス感染症
いわゆる犬の風邪を引き起こすウイルスです。
乾いた咳、鼻水、熱が出るなど呼吸器を中心とした風邪の症状を示します。
集団で飼育されている場所では、感染が急速に広がり蔓延します。

犬コロナウイルス感染症
小腸に感染し、犬に嘔吐と下痢、腸炎を起こす感染症です。
感染した犬のうんちが感染源となります。
突然の嘔吐から、ひどい水溶性下痢をおこします。
仔犬では、激しい腸炎を起こし死に至ることもあります。

犬レプトスピラ感染症(イクテロヘモラジー型、カニコーラ型)
多くの野生動物や人にも感染します。人では、ワイル病などの病名があります。
レプトスピラの中でイクテロヘモラジー型、カニコーラ型の2種類のタイプが、犬に激しい症状を起こします。
ネズミなど感染動物の尿が、他の動物への感染源となり、粘膜や皮膚の小さな傷から体へ侵入します。
感染すると、発熱とともに、食欲がない、吐く、血の混じった便、黄疸、おしっこの量が少ないなどの消化器症状、腎・肝疾患に関連した多くの症状が発現します。
腎不全などが起こると死に至ります。

現在当院では、以上の8種類の感染症を予防するワクチンを扱っています。
犬の年齢や状態によって、ワクチンの種類や接種する時期が異なりますので、動物病院にご相談下さい。

最後に、ワクチン接種では、まれに、ワクチンによる副反応が現れることがあります。
この反応は、ワクチン液内に含まれる安定剤によるものとされています。安定剤は、それぞれのワクチンの力価を落とさないために含まれています。この安定剤に対し、過敏な反応をすることが副反応です。
それには、接種後数分でショック症状を起こす反応と、数時間経ってから顔が腫れる、体をかゆがる等の症状をあらわす遅い反応があります。
当院では、特に初めての仔犬のワクチンでは、万が一の際にすぐに対応できるように、注射後、15分ほど院内で状態に変化がないか様子を診させてもらいます、家に帰って状態が急変した場合にも対応できるようになるべく午前中に接種することをお奨めしています。また、以前のワクチン接種で何らかの副反応が出た場合なども、事前にご相談を頂きワクチン接種による事故を未然に防ぎたいと思います。