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仔犬のかみぐせ~人間編

仔犬のかみぐせ~人間編

生後2~5ヶ月ごろの仔犬は、本来なら母犬や兄弟犬とじゃれあい、咬みあって成長していきます。
犬同士で咬まれたり、咬んだりすることで、「強く咬むと怒られる」「咬まれると痛い」ことを学び、「強く咬まない」ことを身につけていくのです。
しかし、ほとんどの仔犬はこの時期に人間の家族の一員になります。
元気で、のびのびとした性格をしている子犬は、常に「遊びたい」「咬みたい」と思っているので、人間にじゃれついたり、咬んだりしはじめます。
しかしほとんどの飼主さんは、なぜ仔犬が咬んでくるのかわからないために、間違った対処をしてしまいます。正しいしつけ方をすれば、子犬は本来の明るい性格をそこなわずに、強く咬んではいけないことを学びますが、間違った方法で対処すると「咬んではいけない」ことを学べないばかりか、それ以外の問題を抱えることもあります。
一緒に暮らしていくうえで、「咬まない」ことは最低限のルールです。
根気よく教えてあげてください。

間違ったしつけ方
①高い声で叱ったり、軽くおしおきする。騒ぎながら逃げる。
女性や子供に多い反応です。
咬んでくるとき、子犬は「遊びたい」と思っています。咬みついたことで人間が手を動かしたり、仔犬を見たり、声をかけたりすることで仔犬は「咬みつく→遊んでもらえる」と勘違いしてしまい、ますます咬むようになります。

②大きい声で叱り、「キャン」と言うまで強くおしおきする。
男性に多い反応です。
この方法を行うと、仔犬はこの人には咬まなくなるので、とても効果が
あるように思えます。しかしこの方法にはとても怖い副作用があるのです。

副作用
①男性には咬まなくなるが、女性、子供、高齢者にはますます強く咬むようになる。
②人間に恐怖心や反攻心を持ち、なでようとしただけでうなったり咬んだりする。

2~5ヶ月の仔犬は、人間の年齢で言うと3~4歳くらいです。
このしつけ方は、小さな子供が、お父さんお母さんに「あそんで」とじゃれついたときに、毎回「うるさい」と怒鳴り、強くたたいているのと同じです。絶対にしないでください。

正しいしつけ方
①おもちゃを使ってたくさん遊ぶ。
人間の手足に咬んでくる子犬の多くは、日中一人で留守番をしている時間が長く、たいくつを持て余しています。ケージから出してもらったときは遊びたくて爆発寸前で、すぐさま手足に咬みついて来ます。
犬種によって必要な運動量はさまざまですが、手足に咬みついてくるのならあそびが足りないと考えて良いでしょう。

②「咬んでも楽しくない」ことを教える。
痛いと思うほど強く咬んできたときは、一度だけ「痛い!」と大きな声でいい、少しだけ仔犬から離れ、しばらく仔犬を無視します。
もし、仔犬がかまわずにもう一度咬んできたら、無言で仔犬をケージに入れるか、人間が他の部屋に行き仔犬をひとりぼっちにします。この時間はせいぜい5~10分くらいで充分です。
5分ほど経ったら、おもちゃを使っておもいきり遊んであげます。
最初は強く咬んできたときだけ行い、仔犬が「強く咬んではいけないことを理解したら、徐々に「すこし歯があたった」くらいでも行うようにしていきます。

この方法は、副作用も無く、誰でも安全に行えるしつけです。
この方法を始めると最初のうちしばらくは、「前よりひどくなった」と思うかもしれません。
それは仔犬が「今まで通り咬んでも反応が無いなら、もっと強く咬めばいいのかな?」と勘違いするためです。
そこであきらめて無視をやめてしまうと、仔犬は「やっぱりもっと強く咬めばよかったんだ」と思い、問題はなかなか解決しないでしょう。
仔犬は必ず理解してくれますので、根気よくこの方法を続けてください。