食糞について
飼い主さんとしつけのお話をしているときに、きまってひそひそ声できりだされるのが食糞の話題です。「実は・・うちの子、ウンチを食べるんです・・」と、皆さん決まりが悪そうに話されます。確かに「ウンチを食べる」なんて、見ていて気持ちのいいものではありませんよね。
しかし、犬の感覚で見ると「ウンチを食べる」ことは、気持ち悪いことでもなんでもない、あたりまえの行動なのです。母犬は生まれたばかりの仔犬のおしりをなめてきれいにしますし、自分の体に他の犬のウンチをこすりつけて、わざと臭いをつけることもあります。
特に仔犬の時期にみられる食糞行動は、ほとんどの場合単純な理由のものです。
☆仔犬にみられる食糞の理由☆
①お腹がすいている
仔犬の食事量は足りていますか?ドックフードの裏面に記載されている「給与量」と、実際に与えているフードの量は正しいでしょうか。
仔犬の月齢と、体重の増加にあわせて食事量が変わります。また、食事を与える回数は、生後4ヶ月齢までは4回以上にわけて、8ヶ月~1歳齢までは3回に分けて与えることが良いとされています。
単純に食事量が足りていない、食事の間隔が開きすぎていてお腹がすいてしまう、などの理由で食糞をすることがあります。
②ウンチを隠そうとしている(証拠隠滅)
トイレを失敗したときに「怒られた」経験がある仔犬は、ウンチをすることを悪いことだと勘違いしています。そのため、ウンチを飼い主さんに見つからないように、食べて隠そうとするのです。
トイレのしつけの際に、怒ることはまったくの逆効果になります。正しい場所で排泄ができたらよくほめて、飼い主さんの前で排泄することは良いことなのだと教えてあげましょう。
③ウンチはおもちゃ
仔犬がウンチをくわえているのを目撃したとき、どんな風に反応していますか?
ウンチをとりあげようとして追いかけたり、大きい声をだしていませんか?
仔犬は、人間に注目されることが大好きです。ウンチをくわえたら、人間に注目してもらえることを学習すると、かまってもらいたいためにウンチをくわえてみせ、飼い主さんの注意をひこうとします。また、「奪い合い・追いかけっこの遊びがはじまる」と勘違いすると、飼主さんに獲物であるウンチを取られまいとして、食べてしまうこともあります。
④ケージが狭すぎる
ケージのなかでのお留守番が長い場合、ケージのなかに「トイレ」「ベッド」「水などの食器を置く場所」が必要になります。このとき「ベッド」「食器」など「排泄したくない」と仔犬が思う場所と、「トイレ」がとても近い場合、してしまったウンチがベッドのそばにあるのがイヤなため、食べて隠してしまうことがあります。
可能ならば、ベッドとトイレを30センチ以上はなれた場所に置くか、仕切りを作ってベッドからトイレが見えにくいように工夫してみましょう。
仔犬の時期に見られる食糞行動は、ほとんどの場合成犬になるにつれて自然におさまります。ウンチをまずくする薬もありますが、効果がないことも多く、根本的な解決にはなりません。まず仔犬の生活を見直し、ウンチを食べなくてもいいような環境を整えてあげることが大切です。
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