社会化トレーニング③ 犬にならす
前回までで、仔犬の社会化の重要性についてご理解いただけたとおもいますので、今回は犬同士の社会化について、具体的にお話したいと思います。
好奇心旺盛な仔犬であれば、ほかの犬に会うとリードひっぱって突進してゆきます。
多くの飼い主さんは仔犬が進むままにしてしまいますが、これはマナー違反な行為です。
たとえ仔犬に悪気がなくても、いきなりとびつかれると多くの犬が驚きますし、性格によっては怒るかもしれません。仔犬に、道端でであった犬すべてと挨拶できるわけではないことを教えます。
まず、飼い主は仔犬のリードをしっかり持ち、相手の犬の飼い主と挨拶をかわしながら通り過ぎます。無事に通り過ぎれたら、仔犬にやさしく声をかけるか、少しのご褒美を与えましょう。
もし仔犬が他の犬を見ることで興奮し飛びついていこうとするならば、一旦仔犬の興味を飼い主に戻し、クールダウンさせる必要があります。「音の出るおもちゃ」や「缶にフードを入れたもの」などを鳴らし、仔犬の興味をひきます。
このときに飼い主が大きな声で名前を呼んだり、「だめ!」などと叱ることは逆に仔犬を興奮させますのであくまでも冷静に対処しましょう。
仔犬が音の出る方向を見たら、その場で「お座り」「伏せ」などの号令にしたがわせます。仔犬が「お座り」をした状態で他の犬とすれ違えたらほめてあげましょう。
このような仔犬とほかの犬をあそばせるときにも、仔犬に号令をかけて落ち着かせておき、相手の犬が近寄ってきてから遊ばせるようにするとよいでしょう。
逆に怖がるタイプの子犬であれば、他犬と十分に距離をとってすれ違い、大丈夫だったという経験を積ませます。他の犬が遠くにみえる距離をたもちながらご褒美を与えるとよいでしょう。散歩中によく会う、性格の優しい犬と少しずつ距離を縮めながらならしてゆきます。
感受性がゆたかな仔犬の時期の経験は、その後の性格形成に大きな影響を与えます。
様々な経験をさせ、それによって仔犬が「楽しい」「怖くない」と感じることが社会化トレーニングの目的です。もちろん、1度怖い経験をしたとしても、その後何回も楽しい経験を積むことで克服できますので、あきらめず根気よく取り組んでください。
仔犬が怖がっていても、仔犬に明るく声をかけ楽しい雰囲気をつくることが大切です。
他の犬にあうことは怖いことではないという態度を仔犬に見せましょう。
短い社会化期に、すべての社会化トレーニングが完了できるわけではありません。
犬は成長に伴って様々な経験を積み、学んでいきます。社会化トレーニングは、犬を飼う上で生涯心がけなければいけないものであることを覚えておいてください。
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