頸部脊髄疾患の一例
- 動物種:犬
- 犬 種:ヨークシャー・テリア
- 年 齢:9歳齢
- 性 別:オス
幹細胞の投与に至った経緯
頸部痛と起立不能の主訴で来院し、他院で多発性の頸部椎間板ヘルニアと診断を受け、手術不適応と判断された子です。
ステロイドなどの内科療法で改善されず幹細胞療法を希望し来院されました。
飼い主様は幹細胞療法の事を事前に調べられており、効果、副作用のことを理解されていたため、幹細胞の抗炎症効果、組織修復作用を期待して、週1回のペースで計4回、点滴投与しました。
投与前の状態

手足の神経学的検査は反応がなく、自力で起立不能の状態でした。
幹細胞投与4回目から2ヶ月後
神経学的な改善を認め、手足も動くようになり、起立可能となりました。
経過
この子は4回目の投与の2ヶ月後に起立可能となりました。
しかし、その2ヶ月後再び症状の悪化が見られたため、5回目の幹細胞療法を行いました。
自己免疫性溶血性貧血(IMHA)の一例
- 動物種:犬
- 犬 種:ミニチュア・ダックスフント
- 年 齢:13歳齢
- 性 別:避妊メス
幹細胞の投与に至った経緯
この子は次のグラフで示す4ヶ月前に初発のIMHAを発症しました。
初期治療は一般的な免疫抑制療法(ミコフェノール酸+プレドニゾロン)に良好な反応がみられ貧血の改善がみられました。
しかし、高用量の免疫抑制剤を服用すると食欲不振、嘔吐といった副作用が出るため、早期に免疫抑制剤を減量し、十分な減量期間を取れませんでした。
そのせいかIMHAの再発を繰り返し、3度目の再発ではそれまでの投薬効果が現れにくくなったため、飼い主様と相談し、幹細胞の効果(免疫調整作用)を期待して幹細胞療法を行いました。

まとめ、注意点
- その後は再発なく元気に過ごしています。(15歳齢歳、発症から2年経過中)
- 免疫抑制剤は3日に1回復用しており、完全に薬をやめることは出来ていませんが、副作用の出ない程度での投薬とIMHAの再発がなく、幹細胞の効果が良好に出てくれて、飼い主様の満足度も高く得られました。
- この子は幹細胞を1回の投与でよく反応してくれましたが、複数回投与しないと効果が出ないこともありますし、残念ながら全く効果のなかった子もいます。
- 投与回数や頻度の目安は病気やその子の状態によって変化してきます。