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しつけと健康のために・・正しい食事の与え方①

食事は、仔犬の健康管理に重要なだけでなく、大切なしつけの機会でもあります
今回は「健康管理」にもとづいた食事についてお話します。
そもそも、人間に飼われている動物は、自分で自分の食べる物をえらぶことができません。
人間に与えられた食べ物を、たとえそれが健康に悪い物であったとしても、食べるしかないのです。成長にしたがってかかりうる病気に配慮した、良質なフードを選び、与えることは、動物の健康を一生にわたって守るためにかかせないことです

ペットフードには、必ず成分表が記載されています。そこには、いろいろな情報が書かれています。そこに使用されている用語について簡単に説明します。

①総合栄養食・・・そのフードと水だけで、一日に必要な栄養素がすべてとれるように作られていることを表しています。主食は、かならず「総合栄養食」と記載されているものを選びましょう

②一般食・間食・副食・おやつなど・・・それだけでは必要な栄養素がとれません缶詰タイプのフードに多いです。総合栄養食と合わせてあたえるか、「おやつ」として少量与えるために作られています。「おやつ」は、肥満予防のため、一日の総カロリーの10%以下のカロリーにおさえることが理想です。(総合栄養食を一日300キロカロリー食べるのなら、おやつは一日30キロカロリー以下にします。)

③特別療法食・処方食・・・特定の病気の予防・治療のために作られたフードです。通常健康な動物には使用しませんが、総合栄養食として与えられる物もあります。動物病院でしか購入できません。(獣医師の処方が必要です。)

市販のフードには、総合栄養食か、一般食(おやつ)か、一見してわからないフードが沢山あります。必ず成分表を確認して、目的にあわせたフードを与えましょう。
また、動物は食べた物の栄養素すべてを利用できるわけではありません。便や尿・汗となって失われてしまい、実際には利用されていないエネルギーもあります。フードの成分表に、「代謝エネルギー=○キロカロリー/100g」などと記載されている物は、代謝で失われるエネルギーを考慮してつくられた、良質なフードといえるでしょう。「100g=○キロカロリー」「エネルギー=○キロカロリー」などと記載されているものは、便や尿で失われてしまうエネルギーを考慮していないのかもしれません。
また、安価なフードには、製造の過程(加熱や乾燥)で失われてしまう栄養素を考慮していないものもあります犬が好んで食べるから、という理由だけで選ぶとおやつタイプの栄養のかたよったフードになりがちです。良質なフードは製造までに様々な研究が必要なため、どうしても値段が高くなりますが、成長期の食事はとても大切ですので、信頼できるメーカーの、子犬用総合栄養食のフードを与えましょう。

人間の食べ物は万病の元
人間の食べ物は、動物にとって塩分や脂肪分が多いだけでなく、食べてしまうと命に関わる危険なものがあります。たまねぎ(ネギ類)やチョコレートなどの昔から危険とわかっている物の他に、レーズンやキシリトールといった、最近になって中毒性があることが発見された食べ物もあります。(当院ブログ「季節の病気」に詳しく書かれています)いまだ発見されていない、中毒性のある食べ物を、知らずに与えてしまう可能性も否定しきれないので、人間の食べ物は一切与えないほうが良いでしょう。

サプリメントについて
健康のために良かれと思って与えているサプリメントが、かえって健康を害する場合もあります。良質な総合栄養食を、必要な分食べていれば、ビタミンやミネラルは充分摂取できていますので、与える必要はありません。特に、カルシウムは、摂取しすぎるとかえって骨を弱くします。(身体が、カルシウムが過剰と判断し、古くなった骨を、新しい骨に作りかえなくなるからです)成長期の仔犬の場合は特に注意が必要ですので、必ず獣医師に相談してから与えるようにしてください。

猫の爪とぎ

「ネコが、ソファや壁につめとぎをして困る」という相談をうけることがあります。
そんな時、ほとんどの飼主さんは、ネコに「つめとぎ」すること自体をやめさせたい、と考えます。しかし、ネコに「つめとぎ」をやめさせることは不可能なのです。
そもそも、ネコはなぜ「つめとぎ」をするのでしょうか。

理由
①「マーキング」
壁や、木につめとぎをし、他のネコに見える形で縄張りのしるしをつけます。
また、肉球のにおいをつけ、臭いでもしるしをつけます。
ネコは自分のテリトリーをとても大切にします。マーキングを毎日かかさないことで他のネコから自分のテリトリーを守っているのです。

②「爪の手入れ」
ネコの爪は、薄いさやが何枚もかさなってできています。つめとぎをすることで古いさやをはぎおとし、常にとがった爪を保っています。ネコにとって爪は大切な武器なので、爪の手入れはかかせません。

この理由は、ふたつとも、ネコの本能なので、どんなことをしてもやめさせることはできないのです。
しかし、「つめとぎ」を決まった場所でするようにしつけることはできます。
子猫のうちに教えれば、ほとんどのネコが簡単に覚えてくれます。人間も、ネコも、お互い快適に生活できるように小さな頃から教えてあげましょう。

教え方
①つめとぎを用意する
ダンボール製・布製・木製・寝かせて使うもの・立てかけるもの・筒状のもの・・・など様々な種類があります。ダンボールのものが安価ですが、布・木製のものは長持ちします。ネコの好みに合わせて用意するといいでしょう。

②置き場所
「つめとぎ」の目的は「マーキング」ですので、ネコがいつもいる部屋の、目立つ場所に置くことが大切です。人間が用意したつめとぎを、ネコが気に入ってくれれば、その後多少動かしても大丈夫です。家中何カ所に置いたほうが、家具への被害は少なくてすみます。

③匂い付け
ネコの肉球をつめとぎにあてて、匂いをつけておきます。またたびの粉をふりかけておくのも効果的です。
ネコがつめをといでいるのをみたら、優しくほめましょう。
ほとんどの子ネコが、あとは自然に覚えてくれます。

困った場所でするのをやめさせたいとき
①ネコは立ってつめとぎをしますか?床でつめとぎをしますか?
まず、ネコの好みに合わせたつめとぎを用意します。

②好んでつめとぎしている場所を、つめとぎしにくいようにします。
ソファ→毛布やビニールシートなど、つめとぎに適さない素材のもので覆う
かべ→ダンボールなどを立てかけておく。ダンボールにアルミホイルを巻いておくか両面テープを貼っておくとさらに効果的。床にもおなじものを敷いておくとネコは壁に近寄れなくなります。
ドア→壁と同じ方法か、ドアに直接アルミホイルや両面テープを貼り付けておく。

③よくつめをとぐ場所に、用意したつめとぎを置いておきます。

④「つめとぎ」でつめをといだら優しくほめます。少しのごほうびを与えても良いでしょう。

⑤ネコが、「つめとぎ」でつめをとぐことになれたら、カバーなどは片付けられます。

ネコのしつけのコツは、「人間がネコにしてほしいことを、ネコが自分からするようにしむける」ことです。「登る」「ひっかく」「とびかかる」と言ったネコの本能からくる行為をやめさせることはでないので、人間が受け入れることのできる方法でネコの欲求を満たすようにしてあげましょう。

春の病気 その2 ~犬のフィラリア症~

フィラリア症は、感染しやすく犬にとって非常に重要な病気です。
しかし、予防法が確立されているので、飼い主さんが予防してあげることで、確実に防ぐことのできる病気です。

フィラリア症とは
毎年、この時期になると、狂犬病の集合注射が行われますが、もう一つ、フィラリア症の予防も始まります。
フィラリアとは、犬糸状虫ともよばれ、心臓に住みつき、大人になると約17~28㎝にもなる、そうめんのような寄生虫です。
感染犬の血を吸った蚊が、他の犬を刺すことで感染します。

フィラリアの成長
蚊が、フィラリアに感染している犬を吸血すると、血液中にいるフィラリアの子供(ミクロフィラリア)が一緒に蚊の体内へと入っていきます。
その後、ミクロフィラリアは、蚊の体内で感染能力のある幼虫に成長します。
そして、再度蚊が他の犬に吸血するときに、蚊の刺し傷から犬の体内へともぐりこんでいきます。
侵入して約2ヶ月は、皮膚の下で成長を続けながら2回脱皮し、3~4ヶ月後には、血管へと侵入します。
感染後5~6ヶ月で肺動脈(心臓から肺に血液を送る血管)に到達して成虫となります。
犬に侵入してから約7ヶ月後、心臓の右心室や、肺動脈に住み着いた成虫は、0.3mmほどの子虫(ミクロフィラリア)を産み、子虫は血流に乗って全身を巡ります。
大人になったフィラリアは、何もしなければ長くて8年間心臓や肺動脈に住み続けます。

症状
成虫の寄生数や寄生期間によって、症状は様々ですが、運動したがらない、咳をする、痩せてきた、お腹が妙に膨らんでいる、息苦しそう、おしっこが赤いなどの症状が現れます。
さらに、肺動脈や心臓の右心室にいた成虫が、右心房や後大静脈のほうへ移動してしまうと、右心室と右心房の間にある弁が完全に閉まらなくなり、重篤な急性症状を呈します。こうなると速やかに虫体の摘出手術が必要となります。
多数寄生するほど症状は重篤ですが、小型犬では心臓自体が小さいため、たとえ一匹の寄生でも重篤な症状になり、死に至る可能性もあります。

予防
フィラリア症は蚊によって感染するため、予防は、蚊の吸血時期に合わせて行われます。
現在の予防薬は、成虫になる前のミクロフィラリアを殺す駆虫薬ですので、蚊が吸血し始める(感染開始)1ヶ月後から、蚊が吸血しなくなる(感染終了)1ヵ月後まで必要となります。
蚊は、まだ肌寒い時期にも見かけることがありますが、蚊が吸血し始めるのは、ある一定の暖かい気温が連続してからと言われています。
また、蚊の体内で感染能力のある子虫に成長するにも、ある程度の温度と期間が必要であるといわれています。
したがって、この予防期間は地域によって異なります。
つまり、冬でも暖かい沖縄ではほぼ一年中必要ですが、石川県では、だいたい5月から11月、12月までの予防が必要です。
確実に予防するためにも、予防薬は、必ず1ヶ月に1回、途中でやめずに最後の月まで連続して飲ませるようにしましょう。

また、毎年最初に予防薬をお渡しする前に、フィラリア感染の有無を血液検査で確認してから、その年の予防薬をお出ししています。
予防薬にもいくつか種類があります。分からないことがありましたら、当院スタッフに気軽にご相談ください。

仔犬との正しい遊び方③

第7回・8回で、おもちゃの種類、遊び方の基本ルールについてお話しました。今回はもっと具体的に、遊び方についてお話したいと思います。
ぜひ参考にしてみてください。

☆☆☆ボール投げ☆☆☆

①投げる前に号令に従わせる
「おいで」で仔犬を呼び、「おすわり」や「ふせ」をさせてからボールを投げます。
もし、ボールを見せただけで「おすわり」するようなら、「立て」や「ふせ」など他の号令に従わせます。号令に従わなかったり、吠えて催促するようならボールを投げてはいけません。しばらく時間をおき、仔犬が落ち着いたころをみはからって、遊びを再開します。

②ボールを無理やり取り上げない
仔犬がくわえたボールは、無理にとりあげようとすると、人間のところに持ってこなくなったり、くわえて逃げるようになります。
さらに追いかけて取り上げようとすると、取られまいと飲み込んだり、攻撃的になる場合もありますので、非常に危険です。
ボールをすぐに返したがらない時には、他のおもちゃ(音の出るものが効果的です)やおやつを使って仔犬をよびよせ、ほめながら、仔犬が自分から口を離すのを待ちます。
同時に「アウト」を教えると良いでしょう。(第8回参照)
自分からボールを離したら、ごほうびを与えるか、またすぐにボールを投げます。
(ボールを投げることがごほうびです。)

☆☆☆引っ張り合い☆☆☆

引っ張り合いは、正しく行えば、仔犬のストレス解消や、しつけにとても役立ちます。
しかしルールを守らずに行うと、仔犬の攻撃性を高めることもあり、危険です。
もし、ルールを守れないのであれば、行わないほうが安全です。
特に、子供は力が弱く、引っ張り合いのルールを守ることが難しいので、注意が必要です。

①犬用のおもちゃを使用する

②号令に従ってから遊びをはじめる

③「オフ」を教える
遊んでいるうちに仔犬が興奮してきて、うなり声をあげだしたら、おもちゃを動かすのをやめ、低い声で「オフ」「はなせ」等の号令をかけます。人間が取り上げようとしておもちゃを動かすと、仔犬はますますムキになって引っ張ります。しかし、おもちゃが動かなくなれば自然と咬む力が弱まります。
そこで「オフ」の号令をかけます。
おもちゃを口から放したら仔犬を充分にほめ、あそびを再開します。
「オフ」を覚えたら、次は「オフ」の後におすわりをさせてからあそびを再開するようにします。この訓練は、仔犬に自制心を身につけさせるのにとても役立ちます。

④最後はおもちゃを取り上げて終わりにする
最後におもちゃを渡した状態であそびを終わりにすると、仔犬に「人間に勝った」という印象を与えてしまいます。毎回そうしていると、人間より自分のほうが強いと勘違いしてしまうかもしれません。

 

犬は、私たちが考えている以上に知的な動物です。犬に「まて」をさせておいてかくれた人間をさがさせる「かくれんぼ」や、足のあいだをくぐらせたり、
「まわれ」を教えたりする、頭をつかったあそびも楽しめます。
犬に好かれる人、犬を上手にコントロールできる人は、犬とあそぶのが上手い人です。
たくさんあそんで、上手に犬との信頼関係を築きましょう。

春の病気 その1 ~中毒~

人間が普段何気なく食べているものでも、ペットが食べてしまうと体を壊してしまう食べ物はたくさんあります。
そこで、今回は、犬や猫が食べると中毒を起こす可能性のある食べ物をいくつかご紹介します。

チョコレート
チョコレートやコーヒー、紅茶に含まれている、メチルキサンチン(カフェインやテオブロミンなど)が中毒の原因となります。
メチルキサンチンの含量は、チョコレートの種類によって異なります。
時には、数片の摂取だけで中毒を起こし、食べ過ぎれば死亡する場合もあります。
特に小型犬では体重に比べて食べる量が多くなるため、より危険性が高くなります。
チョコレートを摂取して1~2時間で、初期には嘔吐および下痢、そして興奮、頻脈、不安、不整脈などの症状が現れます。

キシリトール
キシリトールは、砂糖と同じくらい甘いにもかかわらずカロリーが少なく、虫歯の原因となる口腔内細菌の養分にならない、などの理由でガムをはじめクッキーやマフィンなど、さまざまな食品の甘味料として用いられています。
しかし、これを犬が摂取してしまうと、人間と異なり、低血糖を引き起こしてしまう可能性があります。
これは、人間がキシリトールを摂取してもインスリンが分泌されないのですが、犬の場合、キシリトールを摂取すると、砂糖を摂取したときの6倍ものインスリンが分泌されてしまうことによるといわれています。
インスリンは、血液中の糖分を少なくする働きがあるため、インスリンがたくさん出すぎてしまうと、低血糖を引き起こし、一刻も早い治療が必要な状態となります。
犬では、遺伝が関係しているといわれていますが、まだ不明な点も多いです。
また、猫においてもわかっていません。
キシリトール摂取後、血糖値は、10~20分以内に低下し始め、急速な低血糖、寝てばかりいる、ぐったりする、痙攣、昏睡状態となり、重症例では死亡する場合があります。

ネギ
たまねぎやニンニクに含まれる成分により、赤血球が壊れ、急性の貧血を引き起こします。
摂取後、ふらつき、食欲不振、黄疸、赤色尿、多呼吸などの症状が現れます。

レーズン
レーズンや、ぶどうを食べて数時間以内に、嘔吐や元気消失のほか、食欲低下、下痢などの症状が現れます。
さらに、摂取後24~72時間以内に急性腎不全へと移行し、おしっこが作られない状態へと進行していきます。
急性腎不全に陥った犬での死亡率は、50~75%と報告されています。
レーズン・ぶどうの有害物質は、現在のところ明らかではなく、また、犬以外での中毒は報告されていません。

ほかにもナッツやアボガドなど、動物が食べると中毒症状を起こす食べ物は、たくさんあります。
なかには、命にかかわる危険な状態になる場合もあります。
なるべく、人間が食べるものはペットには与えず、また、拾い食いや盗み食いができないように、気を付けましょう。
好奇心旺盛で何でも口にしやすい子犬の時期は、特に注意しましょう。

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