ホームこころのワクチン季節の病気 > 冬の病気 その3 ~猫の下部尿路疾患~

冬の病気 その3 ~猫の下部尿路疾患~

冬の病気 その3 ~猫の下部尿路疾患~

「おしっこに血が混じる」、「トイレに何度も行く」など、猫のおしっこに関わる病気は、1年を通してよく見られる疾患です。
猫のおしっこに関わる疾患、つまり、膀胱炎や尿石症など、膀胱と尿道に関わるさまざまな疾患は、まとめて猫の下部尿路疾患といわれています。
なかでも、尿路が詰まって尿がでなくなる病気は、寒い冬の季節に多くなるといわれています。

一般的な症状は、排尿困難、血尿、頻尿などで、
・おしっこに血が混じる
・トイレに行く回数が多い
・トイレでふんばっているがおしっこがあまり出ていない
・トイレ以外の場所でおしっこをする
などのサインで、発見されます。

特に雄猫は、雌猫に比べて尿道が細いため、尿道や陰茎の先に尿石や栓子などが詰まる、尿道閉塞を起こしやすくなります。
尿道が閉塞し、尿がでなくなる状態が続くと、吐く、ぐったりするといった尿毒症症状へ至り、一刻も早い処置が必要な、緊急を要する状態となります。

下部尿路疾患の原因は、非常に様々ではっきりとは分かっておらず、尿結石によるものの他にも、ストレスなど多くの原因があります。
尿結石をはじめとした下部尿路疾患になりやすくなる素因には、肥満、ストレス、遺伝、食餌などがあります。
従ってこれらの、リスクファクターを最小限にし、下部尿路疾患にならないように、再発しないように気をつけてあげる必要があります。

1.尿を酸性にする
猫で最も一般的な結石は、尿のpHが7.0以上のアルカリ状態が続くことで作られ、逆にpH6.6以下で溶けます。
また、尿のpHが弱アルカリになると細菌の増殖も盛んになります。
したがって、尿を酸性化する事は、尿路感染症や、アルカリ尿によってできる結石症の予防および治療に非常に重要となります。
この尿のpHは、食べ物によって大きく変化します。
例えば、肉や魚を食べると尿は酸性側へ、野菜などを食べるとアルカリ側に傾きます。
したがって、尿pHの考えられたフードにすることも大切です。
また、運動をあまりしない肥満猫に、この疾患が多い理由にも通じるかもしれませんが、適度な運動は、飲水量を増やすだけでなく、尿のpHを酸性側にします。
また、飲水量を増やすことは、尿量が増え、尿が希釈され、膀胱壁への刺激の軽減につながります。
飲水量を増やすために、いつも新鮮な水を、飲みやすい場所に用意しましょう。
水飲み場所は、1ヶ所より2ヶ所、2ヶ所より3ヶ所の方が、飲水量は増えるといわれています。

2.ストレスを最小限にする
猫も人間と同じくらい、精神的に敏感です。
何かを気にしてトイレを我慢する、トイレに行けない、といったこともあります。
最も重要なことは、猫のストレスレベルをできるだけ少なくすることです。
以下は、最近読んだ雑誌から、猫のストレスを少なくする方法をご紹介します。

猫の生活においてストレスを最小限にする10の法則
①パーソナルスペース(個人空間・私有空間)を与える
猫は、高い場所に隠れるのが大好きです。
タンスの上や、押し入れの中は騒音もなく、他の動物から身を守るために安全と感じます。
このような、安全地帯がなければ、こちらから提供してあげましょう。

②猫にとって有意義な時間を作る
外を眺められる場所を作ったり、どんなに仕事が忙しくても、1日最低10分間は猫と過ごす時間を作るようにしましょう。
毎日決まった時間の一定時間を、猫とあそぶ時間にすると、効果的です。

③トイレを清潔にする
カバー付きのトイレは、猫の立場からすると、においがこもってしまいます。
トイレ容器は、カバーのないものがベターでしょう。
また、小さいトイレもストレスとなります。
成猫が快適と感じるトイレの広さは、最低56×41㎝といわれています。
トイレの設置場所は、騒がしいところは避け、食器や飲水器近くも避けてあげましょう。
多頭飼育では、みんな一緒のトイレではなく一頭にひとつ以上のトイレを用意しましょう。

④飼い主の行動を一定にする
生活パターンの変更や、長時間の留守番は、猫にとってストレスとなります。
食事時間、遊び時間、就寝時間もなるべく一定にしましょう。

⑤弱い猫をいじめる猫を監視する

⑥雑音を最小限にする

⑦猫に話しかけるときは高い声にする
男性の低くて太い声は、猫の恐怖心を助長するようです。
猫は、一般的に人間に聞こえる周波数より、高い音を聞き取ることができると言われています。
男性の声より女性の高い声の方が、猫には快適のようです。

⑧強い香水は避ける
猫は人間より嗅覚が優れています。
強い臭いは、猫にとっては不快です。

⑨毎日の食餌の栄養バランスを再確認する
ビタミンやミネラルの不足も、ストレスにつながります。

⑩ウエイトコントロール
機動力が低下するだけでなく、様々な問題となるため肥満には注意しましょう。

以上の点を考慮しつつ、日ごろから、おしっこの色や量をチェックし、
おかしいと感じたら、すぐに病院にご相談ください。