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ノミの予防

ノミの予防

ノミは、これからの季節、梅雨前後から活動が活発になります。
散歩に行く犬や外へ出かける猫以外にも、人間に付着したノミが室内に持ち込まれる可能性もあるため、これからの時期、定期的なノミの予防をお勧めします。

ノミの一生
ノミは、卵→幼虫→サナギ→成虫へと成長し、成虫は通常2週間から2ヶ月程度、さらに好条件では1年近く生きることができます。
ノミの成虫は、動物の体表に付着すると吸血を始め、体表上で数百個の卵を産みます。
産卵は、2~3週間繰り返されます。
卵はすぐに体表から落下し、カーペットや毛布、寝床で孵化すると、幼虫→さなぎ→成虫へと成長し、再び動物へ寄生します。
このように、ノミは、驚異的なスピードで増殖していきます。
たとえば、産卵直前の雌ノミが10匹いるとすると、30日後にはノミの成虫が約2000匹に増殖し、同時に9万個以上の卵と十数万匹の幼虫を産み出すそうです。
また、乾燥にも強いサナギの状態では、半年以上越すこともできます。

ノミ寄生のサイン
以下のようなサインは、ノミが寄生しているのかもしれません。
早めに病院に相談しましょう。
・毛をかき分けると、赤黒い砂粒のようなものがたくさんついている
・体をしきりにかきむしる・咬む
・皮膚に湿疹ができている

ノミの被害
ノミは、吸血による痒みだけでなく、いろいろな病気の原因ともなります。
①ノミ刺症
ノミが吸血することで、激しい痒みが生じ、ストレスにもなります。
特に小さい子犬や子猫で大量寄生した場合、貧血を起こす可能性もあります。
②ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液成分に対するアレルギー応答による皮膚炎です。
激しい痒みや脱毛などの症状を示します。
症状の程度とノミの寄生個体数との間には必ずしも相関性はなく、ごく少数の寄生だけでも激しい症状を示します。
3~6歳以降の発症が多く、わずかなノミ寄生であっても発症するため、ノミの予防が重要となります。
③ノミが媒介する感染症
瓜実条虫
瓜実条虫は、ノミの体内で成長し、犬や猫がグルーミングなどでノミを摂取することで感染し、小腸に寄生します。
猫ひっかき病
Bartonella henselaeという菌に感染した猫に、ひっかかれたり咬まれたりすることで、人に感染にします。猫ではほとんど臨床症状はないのですが、人では、リンパ節の腫れや頭痛、食欲不振などさまざまな症状が現れます。猫同士のけんかによる咬傷からの感染のほか、感染猫の血液を吸血したノミが、他の猫に吸血することでも感染します。
猫ヘモバルトネラ症
猫の赤血球表面に寄生する病原体で、貧血、発熱、元気消失を示します。母子感染や咬傷による感染のほか、ノミやマダニによっても感染する可能性があるといわれています。
④人間へのノミ被害
飼っている動物だけでなく、人にも吸血し、痒みや皮膚炎を起こします。

駆除・予防
ノミは驚異的な繁殖力をもち、知らない間にみるみる増えています。
成虫のノミを5匹発見した場合、その周囲の環境には95匹の卵や幼虫、サナギが潜んでいるといわれています。つまり、発見できるノミは、氷山の一角なのです。
したがって、動物に寄生している目に見えるノミだけをノミ取りシャンプーで駆除しても、根絶は困難です。
さらに、ノミアレルギーの動物では、たとえわずかのノミの寄生でも発症のきっかけとなってしまいます。
動物に寄生しているノミの駆除だけでなく、新たなノミの付着も阻止し、さらには卵や幼虫、サナギが潜んでいる周囲の環境も改める必要があります。

動物に投与する駆除剤(予防薬)には、年齢、状態によって種類がありますので、動物病院にお尋ねください。